新型コロナウイルス予防接種の委託料の計上で注意すること

消費税法

今回は、新型コロナウイルスの予防接種に係る委託料の計上で、注意すべき点について、確認したいと思います。

消費税の取り扱い

新型コロナウイルス感染症にかかるワクチンの接種事業に関し、市町村と医療機関との間でワクチン接種事業の委託契約を締結し、市町村から医療機関に対し、委託料が支払われます。

消費税法上、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸し付け並びに役務の提供に対し、消費税を課するとされています(消法2①八、消法4①)。

この場合、この委託料は、医療機関が、市町村に対し、ワクチンの接種事業を行うという役務の提供の対価になります。よって、消費税の課税対象になります。

(国税庁:国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ 問14-3 医療機関が受領するワクチンの接種事業に係る委託料の消費税の取扱い〔令和3年6月22日追加〕)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/05.htm#q5-14-3

国保連から入金されるケースがある

接種費用について、原則、接種対象者は、住民票所在地の医療機関等で接種を行い、その場合には、医療機関等は直接区市町村に請求することとなっております。

一方でやむを得ない理由により接種対象者が住民票所在地以外の医療機関等で接種を受けた場合(以下「住所地外接種」という。)には、医療機関等が代行機関である国民健康保険団体連合会(以下「国保連」)を通じて請求することとなっております。

よって、住所地外接種があれば、国保連からは、診療報酬と住所地外接種分のワクチン接種に係る委託料が入金されることになります。なお入金は、診療報酬分とワクチン接種に係る委託料分で分かれています。

気をつけること

クラウド会計を使っている場合、通帳口座と連動させている事業者の方もいらっしゃると思います。その場合、消費税法上、社会保険診療報酬は、非課税取引である(消法別表第一)のに対し、ワクチン接種に係る委託料は、課税取引に該当するので、データを取り込む段階で、消費税区分を間違って取り込む可能性があります。

決算のときに、請求書と突合せして、税区分を修正する方法も一つなのですが、ミスを発見できない可能性もあります。

収入を発生主義で計上する

収入を発生主義で計上することで、ミスをさけられます。(勘定科目は任意で設定いただければと存じます。)

請求月(役務提供月)の仕訳

勘定科目金 額    勘定科目消費税区分金 額    
売掛金    ✕✕✕社会保険診療収入非課税売上    ✕✕✕
売掛金          ✕✕✕委託料収入課税売上10%    ✕✕✕

国保連から入金時の仕訳

勘定科目    金 額    勘定科目    金 額    
普通預金    ✕✕✕売掛金    ✕✕✕
普通預金    ✕✕✕売掛金    ✕✕✕

さいごに

今回は、新型コロナウイルスの予防接種に係る委託料の計上について確認しました。

普段の業務について、日頃から、会計処理を含めて、間違えないように心掛けることは必要だと思います。一方でミスが生じないような仕組みを考えることも、普段の業務を行う上で必要だと思っています。

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